トリコロール 青の愛 [長たらしい映画評]
![]() | キェシロフスキ・コレクションII 「トリコロール」セット よりジェネオン エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る トリコロール三部作の第一作、謎めく青の物語。かねてから「こんな映画を見てみたい」と信じ憧れてきた。はじめて見た時の「念願叶って」な感動の波は忘れがたいものがある……という、個人的に思い入れの深い映画。 |
冒頭で家族三人を乗せて走っていた車が起こした事故に、なぜか衝撃を受けなかった……というか、衝撃が強すぎて麻痺してしまいました。霧のかかった道に現実感がなくて、夢の中をそのままどこかに走り去ってしまうみたいな気がしました。そこから先、ずっと青い霧がかかっているような気分でぼ〜〜っとなりながら見ていました。三人そろって戻ってくることはできなくて、旦那さんとまだ小さな娘さんはそのまま旅を続け、ジュリーだけが二人を見失ってしまったみたいだった。生き残ったんじゃなくて、取り残されたよう。家族と一緒に旅に出ることができない。過去と決別しようとするかのように家を引き払い、新しいアパートに引きこもって暮らし始めるジュリー。ところが、夫が残した青の音楽が、彼女を世界に呼び止める……。寡黙な彼女は気持ちをほとんど表そうとしないけれど、心の内側まで写し出すような映像が美しく、つらく、胸に迫ります。
最初から死んでしまっているので出番がないだけに、旦那さんの存在がとても大きく感じられます。偉大にもとれれば人間くさくも見えて、浮気なんかして時にはつまらないヤツのようでいて、でも確かに何か惹きつける魅力を持っている……大きな男。彼に惹きつけられる女性も、そんじょそこらの女ではない、究極の女なんじゃないかな。ジュリーには芸術的な、音楽的な閃きがあるし、不倫相手だった女も「ああ、彼女がそうなんだ……」って納得させられるようないい女で。二人とも、男の持っていたきらめきに瞬時に反応できるような感受性、が、共通しているんでしょうね。
そういう夫と暮らした日々のかけらがまだ舞っていて、ジュリーの人生はかわり続けていて、これから他の恋人と生きていくとしても、捨てようとした過去はきっと捨てられないものなんじゃないかな? 彼は死んでしまった。死んだ人には誰もかなわない。彼は娘さんと一緒にそのままどっか行っちゃったんです。旅をしている。彼女は残って、音楽を完成させました。
青。こんなにたくさんの表情を持った色だとは。本当に印象的に作品を彩っていて。どんな青かというと……、もしかすると透き通った青と感じた人もいるかもしれないけど、私に見えた"絵"には、透明感はありませんでした。憂鬱のことをブルーっていうけど、ほんとに、穏やかに憂鬱で、優しく不安で、ゆらゆらしながらも毅然とした色。特に、ジュリーが泳ぐプールの青さが印象に刻まれました。自分の哀しみの中に潜っていく彼女、息苦しい青。
オリビエの愛し方もとても痛かった…この人の愛も青みがかってるしれません。彼に協力すると決めた時から彼女の生活はかわり、世界と調和が取れ始める。この、世界と調和がとれるという感覚が、私はすごく好きみたいです★
キャッチコピーの「何色ですか? あなたの愛」を真面目に受け止めて、あたしの愛は何色か、ちゃんと考えたんですよ! 緑かなぁ、と友達と話してました。でも、[トリコロール 緑の愛]じゃかっこわるくて使えない、ほんとに映えない……。とりあえず「綺麗そう」って言ってもらいましたが…失笑ものなのだ★
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以上、過去に他サイトに書いた文章をそのまま転載。
kotaniriko
2004-03-19 14:01:59 | Permalink | コメント(0) |
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