大脱走 [長たらしい映画評]


大脱走 [製作40周年記念特別編]20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
監督:ジョン・スタージェス
出演:スティーブ・マックィーン リチャード・アッテンボロー 他
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むやみやたらと昔のものをありがたがるのは好きじゃない。古ければ何でもいいってわけじゃない。しかしながら『大脱走』こそは、まことの古き良き時代の名画。

男たちの闘い。命がけの逃走劇。掘る。もぐる。走る。登る。ちくちく緻密に作りこまれてゆく脱走計画に、不謹慎と分かっていながらも、胸が躍るのを止められなかった。

第二次世界大戦中のこと。ドイツ軍の悩みは、ひっとらえてきた捕虜どもが、隙を見ては脱走をくわだてることであった。逃げられればまた捕まえてきて牢にぶちこむことになるが、そんなことしたらまた脱走しちゃって、それをまた捕まえてきてぶちこむことになるが、そんなことしたらまたまた脱走しちゃって、それをまたまた捕まえてきてぶちこむことになるが、そんなことしたらまたまたまた……、まだまだ。これが度重なれば、もはや牢に戻ってきても「ただいま!」ってな軽いノリで、何のための収容所なのか、意味をなさなくなってくる。
そこで考えられたX作戦は、最も脱走又は脱走未遂が多いパワフルな兵士たちを、最も警備体制の厳しい収容所にぶちこみ、徹底した管理下に置くことだった。さすがの脱走のプロたちも、ここでは監視の目を逃れることができない。しかし、そこであきらめるような奴らではなかった。一見すれば逃げ切ることが不可能と思われる環境におかれたことが、逆に彼らの心に火をつけたのかもしれない。「夢の250人一挙大脱走計画」がスタートする!
痛快というのは、まさにこの映画のために用意された言葉だと思う。

はじめは少しずつ、少しずつ掘っていた穴が、いつしか長いトンネルになったように。やけにこつこつと続けていた地道な努力が実を結び、ついにXデーをむかえて、そしてそして、大脱走につながっていく。
それまでは脱走といえば、彼らはおそらく目立たないように単独行動をとっていたのではないだろうか。そのワルたちが、今度は額を合わせて知恵を絞り、力を合わせて一つの計画を実行に移していく。その過程に見ごたえがないわけがない。映画の作りも非常に丁寧で、固唾を呑んで成り行きを見守っているうち、私は彼らに親しみを持つようになっていた。ある登場人物の台詞に心を重ねて、こちらも強く応援するようになった。何とか成功させてやりたい、と……。
このあまりにも大胆な逃走映画は、実話をもとに製作されたとのこと。250人全員が逃げ切るという目的を考えた時には、残念ながら達成までには程遠いものがあったが、これはドイツ軍の上層部をまさに錯乱、震撼させる大騒動だったと言えるだろう。

矛盾しているかもしれないが、脱走が実際には失敗したとしても、それはある意味においては失敗ではないのだ。真に恐ろしいのは、脱走を諦めて無気力状態に陥ること、完全に服従することである。しかし、ナチスなドイツ軍は、反乱の芽を摘み取ることができなかった。失敗したのはどちらだろう。雑草を力まかせにむしりとったとしても、種は既にばらまかれたあとである。残ったヤツらは、まだ逃げるだろう。何度でも逃げるだろう。それを止めることはできないのだ。ヒルツはまだ元気そうだ。それを見て、にやり。

でも、ちょっと思ったんだが、札つきのワルどもばかりを一つの場所に集めちゃったら、そりゃあ一騒動持ち上がらずには済まないよなあ……。
なんて野暮なことは言いっこなし。(でも、もう言っちゃったけど)

公式サイト

kotaniriko

2004-03-17 20:26:20 | Permalink | コメント(0) |



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