マイノリティ・リポート [長たらしい映画評]
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・クルーズ
2002年 アメリカ映画
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フィリップ・K・ディックの短編が原作ということになっていますが、小説の設定だけを借りたアクション+サスペンスストーリーです。
スピルバーグ(監督)と言えば、一つにはジュラシックパークやインディジョーンズのような、「テーマパーク映画作家」というイメージが強いのですが、思えば「シンドラーのリスト」を作ったのもこの人で、編集で魅せるようなクラシックな映画も好きみたい。『マイノリティ・リポート』のコンセプトは、「フィルムノワール」です。青みがかったざらざらした感じの画面で、冒頭から眼球のイメージにこだわりを見せたりなんかして、トーン暗め。目の動きをスキャンされてプライバシーをむき出される社会を描くのに、そういう切り出し方をしたのは、なかなかテクニシャンですね。それに、作品舞台は未来ではあるけど、「あ、ヒチコックみたいなカラーも好きだったのね?」という、古いサスペンス映画の雰囲気も思い出させてくれます。
ここにかぶさるサウンドトラックがクラシック調で、やわらかい木管楽器の響きがかえって不安をそそります。安心できる生活のための土台が不安であるという、足元ぐらぐら感じがよく出ていると思います。
手法としてはOKだと思うけど、結果として、この作品は実験作の域を出ていません。シナリオに致命的なミスがあります。予知システムが高い実績を上げて犯罪を100%未然に防ぐことができるようになったはずが、なぜか一番の悪玉がし出かした殺人を摘発することができないのです。じゃあ、何かそいつを守るような秘策が用意されていたのかと考えてみましたが、そうなるとラストシーンが矛盾の爆発になってしまいます。
スピルバーグ監督は、「最後は自分の意志だ!」という明るさを捨てきることができなかったんですね。「未来は自分で選ぶ!」という結論でまとめに入ってしまいました。その明るさが救いになる娯楽作品もありますが、この映画は違うはず。強引なハッピーエンドでは、ダークな色合いで統一した意味がなくなってしまいます。この映画にあるちぐはぐ感は、監督の人がよすぎたせいかな。せっかくのフィルムノワールという着想が生きてこなくて、残念。
kotaniriko
2004-12-01 22:21:33 | Permalink | コメント(0) |
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